オーラルケアに関する商品CMでは、成人の約80パーセントが歯周病、というワードが登場することがあります。歯周病は高齢者に多く見られる病気だと思っていた人たちがこのワードを耳にすると、さぞかし驚かされるのではないでしょうか。しかし実際のところ、この約80パーセントという数字は、成人に占める歯肉の所見が見られる人の割合なのです。歯肉の所見にはさまざまな段階がありますが、歯に歯石が沈着している状態も歯肉の所見に含まれます。つまり必ずしも歯周ポケットが6ミリを超えた患者だけを歯周病としてカウントしているわけではないのです。歯石が沈着しただけでも歯周病に含まれるのなら、成人の約80パーセントという割合はある意味妥当だといえますよね。では今すぐ歯周病の治療をしなければならない人の数となると、どれくらいの割合になるのでしょうか。その答えは成人の約30パーセントです。そもそも歯周病の症状を起こす細菌の数は100種類以上もあるといわれています。この多数の細菌の中で特に症状を悪化させるのは、ポルフィロモナスジンジバリス、トレポネーマデンティコラ、タンネレラフォーサイセンシスです。これらの細菌は空気を嫌う性質があるため、いったん歯肉溝に入り込むと、奥へ奥へとどんどん侵入しながら増殖を繰り返していきます。しかし歯肉溝に入り込んでも、初期の段階ではほとんど自覚症状がありません。歯科医院で行うオーラルケアで歯周病を悪化させる細菌を早期に発見し、炎症が広がる前に取り除くことが医師と看護師に与えられた役割だといえます。