歯周病の症状が現れ始めても、よくある口内トラブルだと捉えてすぐに治療しない人がいます。しかし歯周病は糖尿病と密接に関係しているため、初期の段階であっても歯周病を放置することは推奨されません。歯科医院では医師がプラークを取り除き、看護師がオーラルケアの指導を行うのが初期の歯周病の一般的な治療となります。そしてこの治療でも改善が見られない場合は、患者に内科の受診を促すことになります。歯周病がなかなか良くならない患者は血糖値が高くなっていて、糖尿病を患っている可能性があるからです。そもそも歯周病とは、歯周病菌という細菌を原因とする感染症に分類されています。その一方で糖尿病は、代謝の異常などが原因となって高血圧状態が慢性的に継続する病気です。相互性が全くなさそうな印象を受けるこの2つの病気が、なぜ密接に関係しているのでしょうか。それは糖尿病で慢性的な高血圧状態が続くと免疫機能の低下をもたらし、感染症にかかりやすくなるからです。また糖尿病の症状として、口内で唾液の分泌が減少することも挙げられます。唾液の分泌が減少すると、歯周病が重症化しやすくなってしまうのです。医科歯科大学病院では歯周病の治療を2か月程度行い、その後は患者自身が重点的にオーラルケアをしたことで、血糖コントロールの目安となるヘモクロビンA1cが低下したという事例がたくさんあります。糖尿病は合併症の多い病気だといわれていますが、適切なオーラルケアを行い口内トラブルを改善すると、その相乗効果で血糖値が下がっていくケースも多いのです。